益田ミリ『週末、森で』

都会を離れて田舎で暮らし始めた翻訳家の「早川さん」と、ちょくちょく週末に遊びに来るお友達の「マユミちゃん」、「せっちゃん」のやりとりを中心にしたマンガです。

早川さんは田舎に来たと言っても、いきなりロハスや自給自足に目覚めたわけでもなく、近所にスーパーがないので野菜は通販でお取り寄せだし、東京からのお友達がおみやげに持ってくるメジャーなお店のお弁当やお菓子を「わかってらっしゃる」と喜びます。

住んでる家だって、自然のど真ん中じゃなく駅のど真ん前で、お友達が来ると自動車に乗って、近くの森まで一緒に遊びに行くのです。

それでも、喧噪を離れて無理のない範囲で自然に親しみながら暮らす早川さんの何気ないひとことが、平日になって都会での会社仕事に戻ったマユミちゃんやせっちゃんにとって、息苦しさをやわらげるための、小さなヒントとなったりするのです。

うーん。これはなあ。早川さんは、とっても「できた」ひとだし、このマイペースかつたくましい、地元のひとたちとも交流しつつ自分の領域はしっかり守っている田舎生活は、考えようによっては理想的で、そういうことを実現できちゃう彼女はすごいんですが。

早川さんにアフォリズム的なことを言われて、都会で日々の雑事に追われてあくせくしているお友達があとからそれを思い出して何かに気付く……みたいなパターンが何度も何度も何度も繰り返されていくうちに、むしろなんていうか、ひとりだけ都会の勤め人生活から早々と「一抜けた」している人に俯瞰的に悟ったような「正論」を言われて、ちゃんと素直に受け止められるマユミちゃんとせっちゃんもやっぱり人間できてるなあ、と感心してきてしまった。そんなことを思ってしまう私の性格が悪すぎとういか、個人自営業をやってた頃、なんか言っても勤め人のひとに「あなたには分からないでしょう」的な対応をされることがちょこちょこあった私の人望がなさすぎって気もするけど(笑)。

まあつまり、この3人は、長らく友達やってきただけあって、一見タイプが違うようでも、結局のところ価値観的には似たもの同士なんですね。そういう友達関係は、素敵だと思います。

とりあえず、早川さんの健全さとバイタリティは(正直あんまり羨ましくはないけど)すごい。本業の翻訳の傍ら、着付けの先生やったり近所の中学生の家庭教師をしたり。動植物の知識もぐんぐん増やして、山歩きもマスターし、カヤックも操れる。私が田舎で一人暮らしで在宅労働してたら、きっと不健康だなと思いつつも、いまよりさらに引きこもって余暇はついついインドアなオタク的趣味に費やしてしまうに違いないよ……って、そこが私の人望のなさの所以か!
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